中古マンションで建替え計画

中古マンションで建替え計画が速やかに進展したのにも、いくつかの理由がある。第一は、隣接する一棟をデベロッパーが一括所有したことである。次には、建物が現行の建築基準法からすると法律に適合しない「既存不適格」であり、区分所有されたほうの建物が一棟だけで従前と同じ規模の建物を建替えるのは、事実上不可能であった点である。このことは、今後の建替え事業の展開に対して多くの示唆を与えている。土地価格の高い都心部の中古マンションでは、一棟だけで建替えが困難であっても、隣地または地域を一体として考えれば、建替えが十分に可能であることを教えている。ちなみに、この建替え事業では、二四戸のうち、戻り入居をするのは一五戸で、九戸は既得の権利をお金に代えている。なお、この中古マンションには管理組合がなく、修繕積立金の制度もなかったことも興味深い。区分所有法が改正されて「老朽」「過分の費用」の条件が取られて、五分の四の決議で建替えが可能になったことと、新たに「マンション建替え円滑化法」が制定されたことで、今後は以前にも増して、等価交換方式や優良建物等整備事業による建替えが進行すると考えられる。そして、建築基準法の容積率制限が引き上げられると、その可能性はもっと増す。さらに、建築基準法に総合設計制度が新設され、今後、特定の地域では一定の要件を満たせば、容積率を最高一・五倍まで緩和できる場合もあり、今まで建替えなど考えもしなかった都心部の中古マンションにも、周辺との協力が整えば建替えの可能性が生まれる。

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